閲覧注意


ダンドリBOOKのSSですので、
オスカルさまもアンドレ君も生きています。
ルイ・ジョゼフ殿下、ジャン、フランソワも生きています。

史実と異なる デタラメなお話です。
決して 鵜呑みにしてはなりません(笑)




第1章  ルイの目覚め


アンドレ
この戦闘が 終わったら 結婚式だ

そう告げたのは ほんの少し前。
それなのに 彼は割れるグラスの音にさえ 気づく事無く目を閉じている。

オスカルの中で 恐ろしい勢いで走馬灯が流れ 何かが壊れてしまった。
夢中で駆けだしていた。

置いて逝かないで!
置いて逝かないで!

わたしを一人にしないで!!!!!

だれか!だれか!だれか!

わたしを 撃ってくれ!
頼む!わたしをアンドレのところへ!!!!

「隊長!!」
アランが必死に追いついて オスカルの腕を取る。
一瞬止った彼女だが すぐに倒れ込んでしまった。

激しく泣きながら 石畳の上に突っ伏して泣くオスカルの背を起こしながら  アランは言った。

「ちょっと 落ち着いてください!隊長 アンドレの奴は死んでなんかいませんから。」
「えっ」

がばっとオスカルは身を起こしてアランを見た。
次に素早く アンドレの方を見ると もう担架が到着していて  彼を乗せるところだった。

「気を失っているだけです。隊長が水取りに行っている間に 
ロザリーさんが通りかかったんで 担架をお願いしました。 止血もおれがしときました。
3か所とも急所は外れていましたから  たぶん 大丈夫ですよ。」

へなへなとオスカルはまた 地面に座り込んだ。

「死んでない…」
半ば放心したようにオスカルは呟いた。

「オスカルさまー!」
ロザリーが手を振りながら近づいてくる。

「オスカルさま どこか お怪我でもされているのですか?」
いつもと 違い魂の抜けたようになっているオスカルの様子に
ロザリーは心配そうに、 体のあちこちを調べる。
「わたしは 大丈夫だよ。」
やっと オスカルは平常心を取り戻し ロザリーに柔らかな笑顔を向けた。

「良かった。」
ロザリーは胸に手を当ててほっとした様子を見せた。

「アンドレはこれから 市庁舎に運びますね。
有志の医師の方々が怪我人の治療をしてくださっていますから。」
「ああ ありがとう ロザリーもお手伝いしているのかい。」
「はい。」
春風のような笑顔で答えると ロザリーは走り去った。
その背に
「後から様子を見に行くから それまで頼む!」
と声をかけると ロザリーは一度振り返って 頷いて見せた。

そこへユラン伍長が駆けてきた。
「隊長!戦闘は終了しました。ドイツ人騎兵はマルス練兵場方面に退却いたしました。」
その声にオスカルは自分の立場を思い出した。
「よし!皆を集めて 被害状況の確認をする。」
オスカルはすくっと立ち上がった。

「やれやれ」
アランは 疲れたように片手で顔を覆った。

"アンドレ やっぱり おまえは凄いよ。"

そう思う。そのアンドレが負傷している今、やはり代わりをするのはおれなのだろうと
アランは覚悟を決めた。
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